同性とのセックスに関する覚書
「同性とのセックスは、いわゆる男女セックスにおける最大のリスクである妊娠を背負わなくていいが、たとえ妊娠のリスクがなくても責任をもって段階を経てセックスすべきだし、それがお互いのためである。ちなみに依然として性感染症のリスクはある」
墓標に刻みたい言葉ですね。声に出して練習しておきたい言葉でもある。僕の言葉ですが。
同性とのセックスは失敗すると最悪な事態に陥ることが多い。いろんな障害を乗り越えてやっとベッドインできた!らぶらぶ!愛してるよ~!!というカップルさんは問題ないが、まだまだクエスチョンの多い人間が生半可に生半可な生半可をやると、とんでもないことになりがちなのが同性セックスである。
まず当たり前だが、セックスは責任感を持って行うべきだ。相手の一番プライベートな部分に触れるわけだし、臓器に指を突っ込んだりする。普段は隠している見られたくない、触られたくない場所だってあるかもしれない。ここでいう責任とは超基本的な事柄で、
・性的同意がお互いにあるのか
・何がよくて何がダメなのか(ここは触られると痛いとか)きちんと確認したのか
・性感染症や妊娠などのリスク回避グッズはあるのか
ここまではどんなセックスでも当たり前だが、同性とのセックスであればもう一点確認しておきたいことがある。
・同性とセックスしても本当にお前は大丈夫なのか
説明を短くするためにシチュエーションを挙げてみる。
飲み会で仲良くなり、その後何回か遊びに行ったりして仲良くなった同性のB。なんだか気になってきちゃった。そもそもBが同性に興味あるのかも分かんない!なのに家に呼んだらなんかそういう雰囲気に持っていけそうなフェーズ来ちゃった…!!!!!でも自分Aもカミングアウトしてないし、Bの意思もわからんちん!
ある~あるな~。同性あるあるじゃん。あえて露悪的に言うなら家に連れ込むハードル低すぎる。来て!って言ったらなんの警戒もなく来ちゃうじゃん。危ないよ。いや、危なくないようにすべきだけど、危ないこともあるよ。
まだ付き合ってない場合、自分も相手も初期装備である「ヘテロセクシュアル(異性愛者)」の仮面をもれなく実装済みである。出会って早々「この人バイかも!」「ビアンかも」と分かることってないし、ゲイっぽいという言葉はよく聞くけど差別だし、「わたしは見ただけで性的指向がわかる」という人があれば病院をすすめる。
長い付き合いになってきて、あー言動的に同性が好きなのかなと思うことはあるけど、それもただの憶測。トランス女性にしか恋できない人だっているし、アロマンティック(簡単にいうと恋愛感情を持たない人たち)、アセクシュアル(性的欲求を抱かない人たち)かもしれない。
本当は初めてあった人に対しては「何歳かな?職業も分からない。恋愛対象も性的指向もわからない(けど国民皆保険の恩恵にあずかっている)」となるべきだが、そんな簡単にはいかない。基本的に「何歳かな?職業も分からない(けど国民皆保険の恩恵にあずかっている異性愛者)」くらい大前提として扱われる。だから同性宅に簡単に行ってしまったりするわけだ。別に同性を毎回疑えとかそういう話ではない。このパターンもあるのに、あまりに語られないよねという話である。
A(うわーなんかそういう雰囲気じゃん、え?キスしていい???普通に性欲がアレなんだが?)
B(うーんなんかそういう雰囲気じゃん?同性か~。バイじゃないけど、別に抵抗ないっていうか。キスくらいならアリっていうか)
ぶっちゃけ女性同士によくあるパターンである。男性同士の場合、断固として受け付けない。考えただけで吐き気、無理。という確固たる意志を持っている人も多い。ところが女性同士は意外と友情から恋愛、性愛が地続きだったりする。高校に、やたらべたべたいちゃいちゃしていた女の子たちはいなかっただろうか。あのノリでいくところまで行けちゃうことがあるのだ。(もちろん男性もバイ指向があり、キスくらいならしてもいいかな…になることがあり、女性も女に触られたら鳥肌立つ!の人もいる。どんな可能性もあるからできれば全部記述して360度優しく包み込みたいけど、長くなっちゃうから割愛しちゃうこともある…ごめん……)
急だけど、こっからはマジな体験談をもとにしたフィクションえっち反省会です。
その日、同性の友人Dは酔っていて、なんとなく自暴自棄になっていた。色々あったらしいし、Dの部屋で話を聞いたりのんびり飲んだりしていた。
D「ねえ抱いて?」
僕「え~???(マジか~マジでな~勘弁してほしい、冗談とかのノリじゃねえしな、別に嫌いではないけど、責任もって抱けるほどはよく知らない。てかこの人同性好きなんか。とはいえ、いま確認するのも変じゃね???「同性愛者なんですか?」って抱く直前に確認する野暮したくね~!!)」
反省ポイント①
どう考えても確認すべき。そんな直接的な言い方しなくても、ありったけのコミュ力で「嫌じゃないの?」とか「え~?同性ともえっちしたりするの~?」くらい訊けたはずである。この同性愛チェックだが、微妙な関係のまま勢いでセックスすると事後にめちゃくちゃ訊きにくくなる。一応はセックスしちゃったし、逆に事後確認する方がやりづらい。気まずい。できればする前に確認しておきたいところ。
また、このケースの場合Dは自暴自棄気味になっており、ひょっとしたら誰でもよかったのかもしれない。
僕「うーん、今日はやめておこう。時間遅いし、今日のところはそろそろ帰ろうかな」
D「えーまって、やだ、こっち来て」
ここで突き放すほど僕は冷たくないし、一応、話を聞きに家まで行くほどには関係がある。仕方ないからもう少しとどまる。Dはなんか泣きそうだし、こっちも身の振り方に困ってきた。
D「なんでシてくんないの?」
でた!!!!!!
ここで冒頭の一節。
「同性とのセックスは、いわゆる男女セックスにおける最大のリスクである妊娠を背負わなくていいが、たとえ妊娠のリスクがなくても責任をもって段階を経てセックスすべきだし、それがお互いのためである。」
反省ポイント②
これをここできちんと説明すべき!ぜっったいすべき。なぜ今セックスに踏みきらないのか、相手に対してどういう感情を抱いているか。自分のスタンスは何か。こんながちがちの言葉だが、内容としては「君はいま自暴自棄だし、同性とのセックスをハードル低いと見積もっている可能性もある。そもそも僕はひとと付き合わないけど、だからと言って性に奔放ではなく、あなたとの関係をまだまだ大切に育てていきたいからこそ、今日すぐに勢いでセックスするのはやめときませんか?」というやさしめの提案である。これが出来るとできないとじゃ全然違ってくる。
ちなみに、このケースでは僕は見事に失敗して、僕自身が自暴自棄になってしまった。
僕「あーうんまあはい、じゃそういうことでお手合わせ願います(最低)」
D「(えっちなセリフなど)」
僕「(えっちな行為)」
僕はリバだが、同性とのセックスでは基本タチに回るため、結局相手は脱がして、自分は脱がずに奉仕するだけしてやり過ごした。よくやるやつだ。本当に愛している人とのセックスでも脱がないことはある。脱がないから気持ちよくないとかそういうことはない。でもこの場合は見せたくないから脱がなかった。こういう線引きはできるえらい子である。
まあそのあとは泊っていけという相手を適当にあしらい、適当に帰った。
最初に述べた通りこれはフィクションで、いくつかの僕の体験を融合させた適当な話である。
反省ポイント③
そもそも相手は本当に僕とセックスしたかったのか?この一点に尽きる。かなりでかめの反省ポイントだ。
セックスは全部さらけ出してもいい。というかその目的が80%くらいな気がする。全部さらけ出して、それでも相手は引かずに受け入れてくれる。全部全部全部受け入れてくれる。うれしい。この感覚を得たいがために世の童貞はカワイくてちょっと従順で色々認めてくれる彼女が欲しく、世のメンヘラは安定感があってちょっとSっけのある包容力抜群の男性を望む。セックスによって簡単に「きみのことを受け入れるよ」という態度がとれてしまう。だって、嫌いな人とはセックスなんてしない前提じゃん?普通セックスできるなら好きじゃん?好きを証明してるみたいじゃん。
でもこのケースでは僕は渋々セックスしているし、ほんとは帰りて~って思ってるし、本当の意味で相手を受け入れたりしてない。それなのに飛躍してセックスしちゃったおかげで壁が出来ちゃって「ちなみに同性愛者なんだっけ?」なんて聞ける感じじゃない(ここでポイント①が活きてくる)。
別に性的指向なんて知らなくてもいい。でも「たまたま家に呼んだら来たし、なんかむしゃくしゃしててセックスしたかったし、ハードルも低い気がしたし妊娠しないし」という適当さを感じちゃったから、それなら「同性が好き(もしくは、好きなのかまだわかってないけど)、前から気になってて」とかの方がこっちも気が楽だから確認したくなっちゃう。ぺ~。
正直、僕はこのケースで都合のいい人間として使用されており、だいぶ傷ついた。相手から発せられる「抱いて?」は「ね、受け入れてくれるでしょ?嫌いじゃないよね?証明して?お願い、受け入れて、慰めて」という意味すら包括して僕に届いており、僕はそれをはねのけることができず、本当に残酷な嘘をついた。セックスで端的に「うけいれてるよ」と伝え、それで自分自身の行動にも十分に傷ついたし、実際のところ相手のこともずたずたにしていたと思う。
反省ポイント④
これは今回のケースにはあてはまらないが、さっきシチュエーションで挙げたAとBだったらあり得るかもしれない展開だ。
Bの性自認やアイデンティティを狂わせるパターン
実はこれがないわけではない。一番深刻で、根深い。Bはどちらかといえば異性愛者で、同性との経験はなく、知識がないわけじゃないけど興味津々というほどでもない。同性に急な性的接近をされることを恐怖と捉えることは十分にあり得るし、その場では勢いに流されて行為に及んでも後日自分が傷ついていることに気づくかもしれない。
異性愛の呪いが強すぎるあまり、「女性にキスしたいってことはわたし男性なの?」と感じてしまったり、差別が根強く「勢いで男性と寝てしまった。こんなの本当の僕ではない。一生隠さないと」と罪悪感を覚えてしまう人もいる。
あのときは勢いで「こういうのもありかも」って好奇心旺盛に食らいついたけど、急に自分のことが分からなくなってきた。この出来事を機に自分の性的指向とか恋愛対象をちゃんと考えてみたらぐちゃぐちゃになってきた、もうなんでもいいのかも。そもそもセックスとかしたくない。みたいな状態になってしまったりする。できればこんな状態になってほしくない。
これが一番怖い。
だから、性的なことについて話し合ったことのない同性と性行為に及ぶ場合
同性とセックスしても本当にお前は大丈夫なのか
ときちんと確認してほしいのだ。
以上、解散……。好きな人とのセックスはどう考えても最高だし、全然ダメなことじゃないし、責任と安全を守っていっぱいしてほしいと思っています。
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